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2020.09.14

職人の職業の評価を維持するには、職人が保守主義にならないこと、威張らないこと

   昔私がツーバイフォーで家をつくったとき、来た大工の中に宮大工がいて、その人が私の前でツーバイフォーなんて家ではないと言ってツーバイフォーを馬鹿にしたので非常に悲しい思いをしたことがあります。その宮大工の仕事が投げやりで、私は宮大工を評価しなくなりました。さらに宮大工という職業を評価しなくなりました。ツーバイフォーは非常に家の構造がしっかりしており、50年たっても、狂いが生じていません。いいものはいいと言える心の広さが職人には必要です。

   昔評価が高かった職人の職業が近年評価されなくなった例は無数にあります。その原因は、自分の昔の仕事を威張って、現代の仕事のいい点を学び、自分の技術向上に活用しなかったことにあります。つまり職人が保守主義になって過去の仕事を威張ると現代人はそのような職人を評価しません。さらにはその人の職業も評価しなくなります。すると、その職人は過去の仕事の思い出に閉じこもるような生き方になり、若い人がその職人の技術を継承するチャンスがなくなり、技術の継承が止まります。

   もう一つ例を上げましょう。昔の日本の家具技術は非常に水準が高かったと思います。しかし技術・デザインなどが伝統的で、西洋家具がどんどん日本に輸入されました。その時、日本の家具職人が、謙虚になって西洋家具の優れた点を自分の技術に取り込んで自分の技術を大きくすれば日本の家具技術は世界的にゆるぎなかったと思いますが、伝統家具技術に閉じこもった結果、日本家具の売れ行きが落ち、日本家具職の評価まで下がりました。こうなると家具職人が育ちません。

   職人が保守主義となり、過去の仕事を威張るだけになると、その職人の職業の評価まで下げることになることを知るべきです。

   ヨーロッパの家具職人の中にも伝統家具に閉じこもった人は多いと思いますが、自分の職業に誇りを持ち、現代人のニーズに応えて機能的で美しい現代的な家具を作り続ける人が多くいました。彼らの作品は現代日本人のニーズにも応えることができていると思います。

   職人は、伝統技術を威張るだけでなく、伝統技術すら改善し、現代人のニーズに応える心の広さを持っていると、その職業の評価を維持できるのだと思います。

(注)私は日本の刃物を非常に高く評価しています。いまだにヨーロッパの刃物に負けていないと思います。刃物職人は威張らないで、技術の改良に努めてほしいと思います。技術に終わりはないと思ってほしいと思います。

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